CLIP STUDIO PAINT 差分CG制作 タイムラインありファイルオブジェクトの問題と回避

CLIP STUDIO PAINT (CSP) の Tips です。

タイムラインが設定されたclipファイルのファイルオブジェクト (長いので以降TL-FOと略) は一見便利に見えますが 1.8.8 現時点では問題が多いです。

絵を描き始めた初期段階では編集ファイルと外部化されたclipファイルの間でタイムラインが簡単に同期してくれるので便利ですが、描き進めてレイヤーやフレーム数が増えてくるとレンダリング処理が増大してしまい手に負えなくなります。

一般的なアニメーション制作では元々のレンダリング処理が少ないためこの問題は表面化しないかもしれませんが、差分ありイラストでファイルオブジェクトを使用する場合はレンダリング処理量が多くなりがちでこの問題に直面することになります。

A <- B <- C
A ... 最終 clip ファイル
B ... Aにファイルオブジェクトとして読みこまれる
C ... Bにファイルオブジェクトとして読み込まれる

このようなファイル構成になっている場合、Aでフレームを切り替えるたびにA<-B<-C間に含まれる多くのステップで再レンダリングが起こります。 どうも TL-FO はフレームごとの最適化された完全なレンダリングキャッシュを保持しないらしく、フレームを切り替えるたびに再帰的にレンダリングするので再描画処理が驚くほど遅くなります。

またファイルオブジェクトにはもう一つ大きな問題があります。 ファイルオブジェクトが読み込まれたときに、書き出しのための下書き設定等が全て無視され、編集上表示されているレイヤーが反映されてしまう問題です。

ファイルオブジェクトで特定のレイヤーを非表示にする機能 | CLIP STUDIO PAINTの要望・不具合ボード | CLIP STUDIO

この問題は 2016/06/08 に指摘があり対処されることになったはずなのですが、何の音沙汰もなく放置されたままです。

これらの問題に対処するには単純で原始的な方法を使います。 直接TL-FOを使わず、pngなどに連番書き出ししてからファイルオブジェクトとして個別に読み込むようにします。

A <- 連番png <- B <- 連番png <- C

本来 CSP がやるべきフレームごとのキャッシュを人力でやる感じですね。 面倒な作業ですがそれほどでもありません。これによりフレーム切り替えに10秒以上待たされていたのが1秒未満に短縮できます。 この人力キャッシュは差分CG制作やアニメーション制作に限らずただの一枚絵でも有効です。